最近の手術は痛くない

このページでは、当院で行なっている手術療法について説明します。

手術は充分な局所麻酔下で行ないます。工夫によって痛みや出血の少ない手術を確立しています。

いびきや睡眠時無呼吸症候群に対するのどの手術(cobUPPP)は日帰り低侵襲手術です。鼻の手術の入院は1泊2日が基本です。

院長が当直しています。
院長の当直によって入院期間を短縮可能にしています。

睡眠時に生じるいびき・呼吸異常の責任部位は上気道(鼻腔、咽頭、舌・舌根)に有ります。従って、基本的には鼻腔、咽頭、舌・舌根レベルを一体として考え手術戦略を立てています。

いびきや睡眠時無呼吸症候群を手術で改善するためには、鼻腔に問題のある場合は鼻を正常化する必要があります。
新しいcoblationを用いるいびき・睡眠時無呼吸に対する手術(cobUPPP)は、これまでヨーロッパで多数例が行われ、成果を挙げています。

最近、アメリカではこの手術器械を用いて舌、舌根扁桃の容積を減少(小さくする)させる手術も行われています。
これは、coblationのchanneling技術(双極電極を刺入して通電)によって、比較的容易に行われます。
このテクニックはcobUPPPでも用いられます。出血はありません。

当センターでは、複合鼻科手術とcobUPPPの段階的併用で効果不充分の場合にのみ、舌・舌根扁桃のchannelingを行います。
つまり、睡眠時呼吸障害(いびき、昼間のねむけも含め)は、睡眠中の鼻腔、咽頭(上、中)、舌(下咽頭)のレベルに原因があり、さらに肥満に起因する因子が複雑に関与していると考えられます。

従って、手術療法の目的はこれらのレベルの原因を取り除くことにあります。 術前術後の検査によって、効果を確認しながら段階的に行うのが合理的です。

当センターの手術方針では、multilevel staged operation strategy多部位段階的手術戦略をとって成果を挙げています。

いびき・睡眠時無呼吸症候群の低侵襲手術

当センターのいびき・睡眠時無呼吸症候群の低侵襲手術について

睡眠中の上気道:鼻と咽頭を広くして、つぶれ難くすることを目的にしています。
詳細は口腔・咽頭科の論文に載せてあります。

鼻腔が正常であることが前提です。

また、著明な肥満は手術効果が得にくいことが予想されるで、この問題をある程度解決してから、手術の適応を考えます。

いびき・睡眠時無呼吸症候群で、最も多い形態学的な問題と質的問題のある軟口蓋、長大な口蓋垂(のどちんこ)、肥大した口蓋扁桃、舌根扁桃に問題のある場合に、低温ラジオ波(コブレーション coblation)を用いた低侵襲手術を行っています。

低侵襲手術のコブレーション coblationの特徴

電極周囲の組織を凝固変性させ吸収消失させ、咽頭の拡大と軟口蓋の硬化をさせることが出来ます。

低侵襲手術のコブレーション coblationの長所

出血がない、術後の疼痛がきわめて軽い(鎮痛剤を用いれば殆ど痛くない)、切開せずに軟部組織を減量できるなど理想的と云われます。

この優れた手術法は、活用方法を工夫することで、低侵襲で一層の効果が期待できます。
口蓋扁桃や舌根扁桃の肥大に対しても有効に活用することが出来ます。

因みに、コブレーション coblation はtemperature-controlled radio-frequency volumetric tissue reduction と表現されています。

いびきに対する軟口蓋形成術にも、コブレーション coblationを用いて切開創を小さく、新しい低侵襲手術の咽頭開大手術(coblation assisted uvulopalatopharyngoplasty: cobUPPP)で効果を挙げています。

当センターで行なっているこの手術は、従来のUPPPと一線を画する優れた低侵襲術式と考えています。
いびき・睡眠時呼吸障害に対する手術では、咽頭の瘢痕性狭窄を起こすレーザーは用いません。

従来のUPPPやUPPのためには、1週間の入院、全身麻酔が必要でした。
従来の手術は、レーザー手術も含め、口蓋垂・軟口蓋・咽頭(口蓋扁桃も含めて)の形態を形成して、咽頭を拡大しようとしますが、cobUPPPは形態を形成すると同時に、channelingと呼ばれる電極を刺入、通電によって軟口蓋の性状を改善することが可能です。 

この点と出血のない、術後疼痛の軽い低侵襲であることが決定的に異なり、大きな進歩です。

当センターにおける手術療法の目標

当センターにおける手術療法の目標は、治癒または軽症化です。

AHI、AI、 ODIのみならず最低脱酸素飽和度、90%以下の酸素飽和度の減少など睡眠時呼吸障害の頻度だけでなく質の改善による心臓血管系への負担の軽減、いびき、昼間の眠気、生活の質QOLの改善を目指しています。

睡眠時呼吸障害の治療は、先に述べた保存的治療法と低侵襲性の手術療法が可能であることが望ましいと思います。

当センターにおける手術療法

専門的になりますが、当センターの手術療法は、minimal invasive multilevel staged operation strategy複数部位の低侵襲性段階的手術戦略をとっています。

つまり、患者さんによって戦略を変える必要性を考えながら治療しています。

一つの手術によって改善が不充分の場合、次の手術も用意しています(真に治癒、改善を望まれる場合です)。

多くの場合は、先にも触れましたが、複合鼻科手術とcobUPPPの組み合わせで済む場合が多く経験されています。

従来の鼻の手術では、睡眠時呼吸障害の改善はないとされていましたが、複合鼻科手術の効果は間接的ながら睡眠中の咽頭陰圧を軽減して直接的な手術のcobUPPPに近い手術効果が認められています。

複合鼻科手術は鼻腔の形態学的異常を修正するのみでなく、下鼻甲介粘膜下で剥離し骨を除去すると同時に鼻の副交感神経線維(後鼻神経)を切除することにより空気の通り道を確実に広く確保する点が従来の手術と異なっています。

後鼻神経切除術はアレルギー性鼻炎、血管運動神経性鼻炎の手術として約50年以上も前に開発されたvidian神経切徐術を更に鼻腔内で可能にした侵襲の少ない手術です。 人の身体はご存じの様に自律神経(交感神経と副交感神経)によってさまざまな調節を受けています。

一般に昼間の活動時期には交感神経が優位に、疲労時や睡眠時には副交感神経が優位に働いています。

副交感神経優位の状態では鼻の粘膜の血管は拡張し粘膜の厚みが増加し、空気の通り道は狭くなります。

このことを考慮した手術を行っています。 先にも述べましたがいびきや睡眠時呼吸障害で来院する患者さんの70%の方が鼻のアレルギーを合併していることも考慮しなければならないと考えています。

術前術後の検討では、統計学的にも有意の改善が着とめられています。
これらの成績は、日本睡眠学会、日本耳鼻咽喉科学会、日本口腔・咽頭学会、日本鼻科学会 、耳鼻咽喉科臨床学会で発表しています。論文発表についてはTOPページのNews & Topicsをご覧ください。

cobUPPPは日帰りで低侵襲手術です。 当院では、さらに咽頭の陰圧の減少を目的に鼻腔の整形術を行い、成果を挙げています。
この複合鼻科手術compound nasal surgeryは一泊二日の入院で可能です

コブレーターcoblator

コブレーターcoblator
コブレーターcoblator
コブレーターcoblator

コブレーターcoblator

バイポーラー高周波電極

症例

cobUPPPの手順

手術前
1. 術前

1. 術前

2. 両側後口蓋弓の切開

2. 両側後口蓋弓の切開

3. 左側切開創より内側上方へのchanneling

3. 左側切開創より内側上方へのchanneling

4. 左切開創外側残存口蓋弓軟部組織のchanneling

4. 左切開創外側残存口蓋弓軟部組織のchanneling

5. uvulaの正中下方へのchanneling

5. uvulaの正中下方へのchanneling

6. uvulaの部分切除

6. uvulaの部分切除

手術後
7. 術後30日

7. 術後30日

手術前
術前:口蓋扁桃肥大、長い口蓋垂

術前:口蓋扁桃肥大、長い口蓋垂

咽頭に突出している口蓋扁桃

咽頭に突出している口蓋扁桃

手術後
コブレーションによる手術後

コブレーションによる手術後

コブレーションによる咽頭の拡大

コブレーションによる咽頭の拡大

鼻の手術(複合鼻科手術)

当センターの鼻の手術(複合鼻科手術)について

当センターの鼻の手術は、複合鼻科手術とも呼ばれる鼻中隔と両側下鼻甲介の粘膜を保存しながら整形して確実に鼻腔通気度を改善する方法です。全て鼻腔内で行ないます。粘膜上皮を焼いてしまうレーザーは使用しません。

出血や疼痛はきわめて少なく(鎮痛剤を用いれば殆ど痛くない)、同時に副鼻腔炎の手術を行っても入院は1泊2日、4日目には鼻呼吸が可能となります。
4日目に鼻腔内の詰め物を除去する時も出血はありません。

この手術は幾つかの手術の組み合わせ手術で、花粉症などのアレルギー性鼻炎に有効な後鼻神経切除術を含めています。 これによって昼間のみならず睡眠中の鼻腔通性は確保されます。 後鼻神経切除術は本来、血管運動性鼻炎やアレルギー性鼻炎の手術として開発されました。

複合鼻科手術

鼻中隔の彎曲

鼻中隔の彎曲

鼻腔通気度

鼻腔通気度

鼻の手術によって鼻閉が解消されるだけでなく、いびき・睡眠時無呼吸、昼間の異常な眠気が改善されます。花粉症などのアレルギー性鼻炎に有効です。

花粉症に行われているレーザーによって、粘膜を焼いてしまう手術の欠点は、骨や軟骨を整復することなく粘膜だけを焼灼するため、一次的に鼻の通りが改善しますが、対象を誤ると鼻閉の再発が起こり易いことです。
薬物を用いた化学的な粘膜の焼灼でも同様です。

鼻腔の構造(骨や軟骨)に異常のない、下鼻甲介粘膜の腫脹による頑固な鼻閉には、高周波手術、ラジオ波手術が効果的で、これらは粘膜の深部を焼灼ないし凝固するので、出血、痛みも殆どありません。

鼻腔の構造に問題のある場合は、始めに述べた手術が必要で確実です。
粘膜を保存的に行う再発の少ない鼻閉に対する進んだ手術といえます。
複合鼻科手術は鼻腔の抵抗を減少させ睡眠中の眠りの質を改善します。

したがって、睡眠時呼吸検査で呼吸障害の検出されないいびき症、上気道抵抗症候群の治療法として有用です。
新しい発想に基づいて当院で考案されたこの複合鼻科手術は、睡眠中の上気道の陰圧状態を軽減させる方法で、先のコブレーションによる咽頭開大を目的とする手術との段階的併用が一層効果的であることが証明されています

2009年4月までの当センターでの複合鼻科手術(ERと略)の成績は論文にして発表していますが、このERは従来の鼻の手術では不可能であった睡眠中の無呼吸、低呼吸の頻度(AHI, AI, HI)、日中の眠気を有意に改善しています。

複合鼻科手術による重症睡眠時無呼吸症候群の改善

複合鼻科手術によるsummery graphとfull-PSGによるeventの変化

手術前
手術前

術前の鼻腔抵抗:
右側2.25, 左側0.28,
両側0.25 Pas/cm3/s
AI=51.7, HI=26.4 AHI=78.1, ODI=9.3
lowest SpO2=89.4%
SpO2<90%: 4.9%
Arousal index=79.1
ESS=11points
Snoring 10 (VAS)

手術後
手術後

AI=12.4, HI=15.3
AHI=27.7, ODI=1.4
lowest SpO2=94%
SpO2<90%: 0.4%
Arousal index=38.1
ESS=4points
Snoring 4 (VAS)

いびきについては、34.5%で消失、有効率は86%でした。昼間の眠気に対する効果は96.2%でした。

さらに、患者さんの生活の質quality of life (QOL) の検討でも、有意に術前より良くなっています。

重症な閉塞性睡眠時無呼吸低呼吸症候群(AHI>30)に対して、14例中2例が治癒、10例が有効、無効は2例、中等症に対しては6例中2例が治癒、2例が有効、2例が無効でした。

無効例や有効でもさらに効果を改善するには、数ヶ月経過をみてcobUPPPを追加します。

この手術単独の効果についての検討では、重症な閉塞性睡眠時無呼吸低呼吸症候群の10例中2例が治癒、6例が有効、2例が無効でした。
この無効例、有効でも効果不充分の場合には局所の追加手術、またはERの追加を考慮します。

この様な場合、つまり、ER+cobUPPPの効果の検討では、重症な閉塞性睡眠時無呼吸低呼吸症候群の12例中8例が著効、4例が有効で無効は0でした。
中等症では6例中5例が著効、1例が有効、無効は0でした。

効果判定基準はかなり厳しく設けてあり、著効、有効、無効のみに設定しています。
著効とはCPAP脱出可能な状態と思われます。

このように当センターの手術は2段構えが特徴です。
一方の手術で目的を達すれば、終了になります。
しかし、慎重に長期間2~3年間、定期的に検査チェックの協力をお願いしています。
治癒した重症の睡眠時無呼吸症候群の患者さんが、2~3年後の再発のないことを精密検査(PSG)で確認しています。

詳細は、次の論文を参照してください。

  • 久松建一、牧山清、平井良治、他
    「睡眠時呼吸障害に対する鼻科手術と低温高周波 UPPP併用の効果」
    耳鼻臨床2010;387-394.
  • 久松建一、牧山清、平井良治、他
    「睡眠時呼吸障害に対するコブレーションを用いたUPPPの短期効果.」
    口咽科 2010; 23:87-96.
  • 久松建一、 工藤逸大、牧山清、他
    「睡眠時呼吸障害の手術効果からの検討.」
    口咽科 2012; 25:139-150.
  • 久松建一、工藤逸大、 高根智之、他
    「睡眠時呼吸障害に対する鼻内手術の鼻腔抵抗による評価.」
    耳鼻臨 2012; 9:851-857.
  • 久松建一、牧山清、工藤逸広、他
    「いびき・睡眠時呼吸障害に対する両側粘膜下下鼻甲介骨切除術併用鼻中隔矯正術の効果」
    日本鼻科学会 会誌 48:4:349~354, 2009 より
  • Hisamatsu K, Kudo I, Makiyama K
    The effect of compound nasal surgery on obstructive sleep apnea syndrome. 
    Am J Rhinol Allergy. 2015 Nov;29(6):192-6
  • 久松建一、 工藤逸大、高根智之、他
    「コブレーションを用いるUPPPの睡眠時呼吸障害に対する効果」
    耳鼻臨 2014; 6:475-482.

*睡眠時無呼吸症候群を、閉塞性睡眠時無呼吸低呼吸症候群と呼ぶことがあります。

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